更新:2024年5月10日
生前整理と聞くと、終活の一種のように感じられる方が多いのではないでしょうか。
実際の生前整理は、もしものときのために日頃から身の回りを整理しておく、という意味合いが強いです。
断捨離のような効果も期待できるので、現在では30代や40代のうちから生前整理を進めている方も、決して少なくありません。
今回は遺品整理・生前整理の専門家【きずな屋】のベテランスタッフが、生前整理について考えてみたいと思います。
「自分が亡くなった後に家族に負担をかけたくない」とお考えの方は、ぜひこの記事を参考に、生前整理への理解を深めていただければと思います。
1.生前整理とは
1-1 遺品整理や老前整理とは何が違う?
2.生前整理をするならいつ?おすすめのタイミング
2-1 思い立った瞬間に始めるのがベスト
2-2 ライフイベントをきっかけに始めるのもおすすめ
3.生前整理のメリット
3-1 残された家族への負担を軽減できる
3-2 無用な相続争いを避けられる
3-3 人生を振り返って整理できる
3-4 断捨離できるのでスッキリする
4.生前整理のデメリット
4-1 時間や労力がかかる
4-2 お金がかかる
5.生前整理の進め方
5-1 貴重品をまとめる
5-2 残すものと処分するものに分ける
5-3 不用品を処分する
5-4 財産目録を作る
5-5 エンディングノートを作る
5-6 遺言書を作る
6.生前整理のつまずきやすいポイントと対策
6-1 感情的になってつい手が止まってしまう
6-2 物が多すぎて作業が進まない
6-3 1人で全部やろうとしてしまう
6-4 一気に全部やろうとしてしまう
4.まとめ
1. 生前整理とは
生前整理とは、その時点での持ち物や財産の整理を指します。
元気で健康なうちから自分の手で身の回りを整理しておき、万が一の際にスムーズに相続が進められるように準備しておくのが主な目的です。
これまでは遺族の方が遺品整理として、亡くなった方の身の回りの物などを処分するのが一般的でした。
ですが遺品整理は残された家族への負担が大きく、遺産相続にも大きく関係するため、トラブルに発展してしまう可能性もあります。
遺族に頼らず、自らの手で元気なうちに身辺を整理する生前整理は、遺品整理の問題を解決する効果的な方法の1つです。
近年では、TV番組などでも特集されるほど注目されています。
遺品整理や老前整理とは何が違う?
生前整理に似ている言葉として、遺産整理や老前整理があります。
これらはいずれも、身の回りの物や財産の整理という点は共通しているものの、誰が・いつ整理をするのか、という点に違いが見られます。
遺品整理とは、遺族による遺産の整理です。
亡くなった方の身の回りの物や財産を整理し、きたるべき遺産相続に備えるためにおこなわれます。
遺族は膨大な量の遺品を整理しなければならず、非常に多くの時間と労力をかけなければなりません。
専門業者に依頼をするにしても、少なくない費用がかかるでしょう。
遺産相続の際に課せられる相続税の申告には期限があり、遺品整理をおこなう時間も限られている点も大きな違いです。
一方の老前整理は、生前整理と同様に自分がまだ元気なうちに、自分が主体となって自分の身の回りを整理する行為です。
整理に期限が設けられているわけではないため、気がついたタイミングで少しずつ進める、というやり方も可能です。
ただし老前整理は、自分がまだ元気に動けるうちに、自力で身の回りの整理ができるうちに、という側面が強いです。
この点が、タイミングを特定していない生前整理との大きな違いとなります。
2. 生前整理をするならいつ?おすすめのタイミング
お伝えした通り、生前整理は特におこなうタイミングが決まっていない、という点が特徴の1つです。
だからこそ、いつ生前整理を始めればよいのか悩んでしまう、という方も多いのではないでしょうか。
ここからは、生前整理を始めるおすすめのタイミングをご紹介します。
思い立った瞬間に始めるのがベスト
まず大前提としてお伝えしたいのが、生前整理はいつおこなってもよい、という点です。
年齢や時期に関係なく、生前整理の重要性を理解し、やっておいたほうがいいなあと思った瞬間に始めるのが、最も理想的なタイミングと言えるでしょう。
最近では、30代で生前整理を始める方も増えてきていると聞きます。
生前整理という言葉から受ける印象にこだわらず、必要だと自然に思えたタイミングで始めていただくのが一番です。
ライフイベントをきっかけに始めるのもおすすめ
とはいえ、何かきっかけがあったほうが手を付けやすい、と思われる方も少なくないでしょう。
その場合は、人生の節目であるライフイベントをきっかけにするのがおすすめです。
ここからは、生前整理を始めるきっかけとなるライフイベントの例を、年代別にご紹介します。
●30代までのきっかけの例
30代までの大きなライフイベントといえば、結婚や子どもの誕生、それに伴う生活の変化です。
それまでの自分の持ち物はもちろん、預貯金や銀行口座などもこの機会に整理しておくと良いでしょう。
不要なものは処分し、管理しやすいよう必要なものだけにまとめておくのも大切です。
●40代でのきっかけの例
40代は、人生の中でも出費が多くなる時期です。
子どもがいる場合は教育費がかかってきますし、中にはマイホームを購入される方もおられるでしょう。
そういった大きな出費が発生するタイミングでの生前整理は、現在の資産状況や、これからのライフプランを再確認するよいきっかけになるのでおすすめです。
●50代でのきっかけの例
50代になると子どもが独立し、老後のための資産づくりに注力し始める方も多いのではないでしょうか。
それまでは必要でも、夫婦2人だけの生活では必要ない、という物も少なくありません。
これからの生活には何が不要で、何が必要になるのかを整理する意味でも、このタイミングでの生前整理は非常に効果的です。
●60代以降でのきっかけの例
お勤めの方は、定年退職が1つのきっかけとなるでしょう。
特にまとまった退職金が得られる場合は、今後の生活のためにどのように活用すべきか、生前整理をしながら考えてみるのがおすすめです。
また60代以降はどうしても、今まで以上に健康上の問題を抱えやすくなります。
ご自身の健康に不安を感じたタイミングで整理を始めるのも良いですが、必ずしも生前整理できる状況であるとは限りません。
60歳や70歳など、元気な状態で年齢的な節目を迎えられた場合に、整理を始めてみるのも良いでしょう。
3. 生前整理のメリット
何かと手間がかかる、面倒な作業と思われがちな生前整理ですが、主に以下のようにさまざまなメリットがあります。
●残された家族への負担を軽減できる
●無用な相続争いを避けられる
●人生を振り返って整理できる
●断捨離できるのでスッキリする
●それぞれ詳しく見ていきましょう。
残された家族への負担を軽減できる
繰り返しお伝えしている通り、生前整理の代表的なメリットが、残された家族への負担軽減です。
遺品整理は金銭的価値のあるものだけに限らず、故人が暮らしていた家の中にある全てのものを対象として整理しなければなりません。
したがって家具や家電はもちろん、タンスや押入れの中身も含め、全てを整理し、処分するものと残すもの、遺品として分配するものとに分ける必要があり、時間と労力がかかります。
生前整理によって、少しずつでも身の回りや財産が整理されていれば、その分だけ遺品整理をおこなう家族の負担も軽減されるでしょう。
無用な相続争いを避けられる
遺産整理で意外と多いのが、それまで家族の誰もが知らなかった財産を見つけてしまいトラブルに発展してしまう事例や、遺産整理の段階で発見できなかった財産が相続後に出てきてしまい、トラブルに発展してしまうという事例です。
生前整理によってあらかじめ財産を整理して、遺言書や財産目録を用意しておけば、このような無用なトラブルは問題なく避けられるでしょう。
人生を振り返って整理できる
生前整理とは、身の回りの品や財産の確認・整理だけでなく、それまでの自分の人生を振り返る良い機会です。
今までの人生で自分が積み上げてきたものを確認できるのと同時に、これから何が必要になるのか、どのように準備しておけばよいのかを考える機会としても役立ちます。
整理によって家族に残せるものを具体的にできれば、これまでの人生の意味を肯定的に受け止めやすくなるでしょう。
また、生前整理をきっかけに必要な準備ができれば、これから先の人生もより良いものにしやすくなるはずです。
断捨離できるのでスッキリする
物理的に身の回りを整理できるのも、遺品整理のメリットの1つです。
不要なものを処分して家の中がスッキリすれば、その分だけ暮らしやすくなります。
物が少ないほど部屋にゆとりが生まれますし、掃除も楽になるでしょう。
物が少なく整えられた状態を維持するように意識すれば、余計な買い物も減らせるかもしれません。
4. 生前整理のデメリット
生前整理にさまざまなメリットがあるのは確かですが、同時にデメリットがあるのも間違いのない事実です。
ここからは、生前整理の代表的なデメリットを紹介します。
時間や労力がかかる
整理すべき物が多ければ多いほど、時間や労力が必要になります。
整理すべき物が多いほど、不必要なものを仕分けるだけでも時間がかかるものですし、大きな家具などを動かす場合など、1人で対応するのは難しいケースも考えられます。
身の回りの物にはさまざまな思い出が詰まっているケースが多いため、整理していると懐かしい記憶や思い出が蘇り、つい手が止まってしまうものです。
こういった点も、何かと時間がかかってしまいがちな理由の1つでしょう。
お金がかかる
生前整理によって仕分けた不用品の処分に、費用がかかるケースがあります。
たとえば大きな家具や家電を処分するには、自治体や専門業者に回収してもらうための費用が必要です。
財産整理に伴って売却処分する場合にも、費用や税金がかかってしまいます。
時間や労力を節約するために、生前整理の作業そのものを専門業者に依頼する場合もあるでしょう。
その場合も、少なくない費用がかかってしまいます。
5. 生前整理の進め方
自分で生前整理をおこなう場合や、家族に協力してもらう場合には、以下の手順で進めるのが効果的です。
1. 貴重品をまとめる
2. 残すものと処分するものに分ける
3. 不用品を処分する
4. 財産目録を作る
5. エンディングノートを作る
6. 遺言書を作る
1つずつ解説します。
①貴重品をまとめる
まずは通帳、印鑑、クレジットカードなど、間違って捨ててはいけない貴重品を集めて、まとめるところから始めましょう。
保管場所が分散した状態のまま整理を始めてしまうと、整理中に紛失してしまうリスクが高まります。
②残すものと処分するものに分ける
次に、残すものと処分するものを分けましょう。
中には処分に躊躇する物もあるかもしれませんが、1年以上使っていないものは、その後も使わないままでいる可能性が高いので、思い切って処分してしまうのがおすすめです。
物の整理が済んだら、パソコンや携帯電話のデータについても、同様に整理しておきましょう。
アカウント情報やパスワードについても、家族が後から確認できるよう、エンディングノートなどにまとめておくのがおすすめです。
登録型のサブスクリプションサービスについても、この機会にぜひ見直してみてください。
③不用品を処分する
まとめた不用品は、適切な方法で処分します。
物によっては捨てるだけでなく、不用品買取業者などに買い取ってもらえるものもあるので、積極的に利用してみましょう。
インターネットのオークションや、フリーマーケットサービスを活用する際は、買い手が現れない場合もあるので注意してください。
④財産目録を作る
整理した品物のうち、価値のある品物や財産に関連するものについてはリスト化し、財産目録としてまとめておくのがおすすめです。
もしもの際に遺族が財産を確認しやすくなり、相続でのトラブルを減らす効果が期待できます。
30代や40代など早いタイミングに整理をしている場合でも、自身の財産を客観的に確認できるのでおすすめです。
⑤エンディングノートを作る
万が一の際に備えて、家族への思いや遺品・財産の扱いなど、残された家族に伝える必要がある内容をノートにまとめておきましょう。
何を書けばよいかわからず悩んでしまう場合には、市販されているエンディングノートを利用するのも良いでしょう。
書くべき項目が指定されていますが、種類によって項目が異なるので、自分に合ったノートを選ぶのが大切です。
⑥遺言書を作る
相続トラブルを防ぐのであれば、法的な効力のある遺言書を作成するのが効果的です。
遺言書は自分で書いた場合でも有効ですが、公証人に作成してもらうタイプの遺言書を用意すれば、より的確に法的な効力を発揮できるでしょう。
費用はかかりますが、できあがった遺言書の原本は公証役場で保管し、写しを手元に置く形になるため、万が一紛失してしまっても安心です。
6. 生前整理のつまずきやすいポイントと対策
生前整理は時間や手間がかかる作業なうえ、何かとつまずきやすい作業でもあるので注意が必要です。
ここからは、生前整理をおこなう際によくある4つのつまずきポイントについて、対策をご紹介します。
感情的になってつい手が止まってしまう
生前整理をする際は、思い出の詰まった品物を整理する機会が多いため、つい感情的になって手が止まってしまうケースが少なくありません。
特に、長年にわたって集めた思い出の品々や、亡くなった家族から受け継いだ遺品などの処分については、判断に迷いやすいものです。
そんな場合は無理をせず、判断を後回しにするのも1つの方法です。
後から後悔しないよう、落ち着いて考えてみましょう。
思い出の品を一旦ひとまとめにしておき、整理が終わってからじっくりと思い出に浸る時間を用意するのもおすすめです。
物が多すぎて作業が進まない
単純に物が多すぎるほど、どこから手をつけていいかわからなくなりやすく、作業が進みにくくなります。
そんなときは、できるだけ作業範囲を細かく区切って考えてみましょう。
たとえば「今回は、この1部屋を整理して終わりにする」というように範囲を小さく決めたほうが、作業も進めやすくなります。
1部屋でも物が多いと感じるなら、その部屋の中の1部分だけを整理するなど、より細かく区切ってみましょう。
1人で全部やろうとしてしまう
生前整理は基本的に、自分自身が主体的におこなうべきものですが、必ずしも自分1人でやらなければならないものでもありません。
1人で進めるのが難しいと感じたら、無理せず家族にも手伝ってもらえないか相談してみましょう。
家族と一緒に整理をする際は普段話せないような、相続に関する内容を話し合う良い機会でもあります。
自分だけでなく、できるだけ家族も納得できるよう、可能な範囲で話し合いながら作業を進めてみましょう。
一気に全部やろうとしてしまう
生前整理と聞くと、つい全てを一気に整理し切らなければならないと考えてしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。
むしろ一気に進めようとするほど、腰が重くなってしまいます。
毎週末、少しずつ進めていく形でもまったく問題ありませんので、日頃から無理のない範囲で進めてみましょう。
>>【参考コラム】
7. まとめ
生前整理は手間や時間がかかる面倒な作業ではありますが、メリットも多いです。
一気に全部やる必要はありませんので、今回紹介した進め方を参考に、無理のない範囲で少しずつ進めてみてはいかがでしょうか。
自力での生前整理が難しい場合には、専門業者に依頼するのも方法の1つです。
遺品整理の専門家【きずな屋】では、生前整理に関するご相談にも丁寧に対応いたします。
親身になってお手伝いさせていただきますので、ぜひお気軽に当社までご連絡ください。
この記事の監修者した人
株式会社 きずな屋 代表取締役 久保田満
遺品整理やゴミ屋敷片付けの現場を長年担当してきたベテラン中のベテラン。
遺品整理やゴミ屋敷片付けの現場を的確に把握し信頼性の高い見積もりをお客様に提示することが高く評価されている。日々丁寧な仕事を心掛け様々な現場へを周りお客様の故人との思いをより反映できるような遺品整理を目指している。
投稿日:2024年5月10日 更新:2024年9月15日
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