ゴミ屋敷を相続放棄するメリット・デメリットとは?注意点などを解説

更新:2024年3月4日

●ゴミ屋敷を相続しない方法はないだろうか?
●ゴミ屋敷を相続放棄するメリットとデメリットは?
●ゴミ屋敷の相続放棄で注意すべき点は?

 

ここでは、ゴミ屋敷の相続放棄を検討している方に向けて、

ゴミ屋敷の相続放棄のメリット・デメリットや注意点、

ゴミ屋敷の管理責任を手放す方法を、わかりやすく解説します。

 

この記事でわかること↓

●ゴミ屋敷を相続放棄するメリット・デメリット
●ゴミ屋敷を相続放棄する際の注意点
●ゴミ屋敷の管理責任を放棄する方法

 

遺品整理と相続の関係を専門家がアドバイス

 

 

1.ゴミ屋敷を相続放棄するメリット

ゴミ屋敷を相続せずに済む点に注目しがちですが、相続放棄のメリットは他にもあります。

まずはゴミ屋敷を相続放棄する2つのメリットを解説します。

 

1-1. 相続税を払う必要がない

相続放棄とは、財産を相続する権利を放棄する手続きです。

財産を相続しなければ、相続税も当然発生しません。

特にゴミ屋敷を相続した場合は、家のゴミを片付ける必要があります。

そのうえで相続税も支払うとなると、精神的にも経済的にも、大きな負担になるでしょう。

相続税の総額は、遺産の総額から基礎控除額を引いた額から求められます。

したがって相続する財産が基礎控除額以下の場合、相続税はかかりません。

基礎控除額は、基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)求められます。

実際に相続放棄するかは、まずは相続財産の全体を確認してから判断したほうが良いでしょう。

なお相続人にかかる相続税は、納税額 = 相続金額(法定相続分に応ずる取得金額)× 税率 - 控除額で求められます。

税率と控除額は以下の通り、相続する金額によって変化します。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55%K 7,200万円

 

1-2. 借金を相続せずに済む

相続する遺産のすべてが、プラスになる財産とは限りません。

未払いの費用や借金が残されていれば、その負債も相続する財産に含まれます。

このようなマイナスの負債を相続せずに済むのも、相続放棄のメリットです。

特に借金などの経済的なストレスは、家をゴミ屋敷にしてしまう要因のひとつになるケースがあります。

ゴミ屋敷だからといって必ず借金があるとはいえませんが、人知れず何らかの経済的な問題を抱えていた可能性もあります。

相続放棄の期限までに、具体的な負債の総額が把握しきれないケースもあるでしょう。

そういった場合でも、相続放棄は効果的です。

 

2.ゴミ屋敷を相続放棄するデメリット

相続放棄を検討する際はメリットだけでなく、デメリットにも目を向ける必要があります。

具体的には、以下のようなデメリットが存在します。

●ゴミ屋敷以外の財産も相続できなくなる
●ゴミ屋敷の管理責任が残ってしまうケースがある
●相続トラブルが発生する可能性がある

ひとつずつ見ていきましょう。

2-1. ゴミ屋敷以外の財産も相続できなくなる

相続放棄は、遺産相続のすべてを放棄するための手続きです。

したがって財産の一部だけ相続したり、一部だけ放棄したりはできません。

遺産の一部にゴミ屋敷が含まれていても、他に大きなプラスの財産が残されていたら、相続放棄が後悔の原因になるかもしれません。

相続放棄はゴミ屋敷の有無だけで判断するのではなく、財産の全体を確認してから考えたほうが良いでしょう。

 

2-2. ゴミ屋敷の管理責任が残ってしまうケースがある

ゴミ屋敷を相続放棄したからといって、ゴミを片付ける義務がなくなるとは限りません。

次にその財産を相続する人が財産管理をしはじめるまでは、相続放棄をした人に管理責任があると、法律で定められているためです。

管理責任が残っている間にゴミ屋敷でトラブルが発生すれば、もちろん責任が問われるため、注意が必要です。

 

2-3. 相続トラブルが発生する可能性がある

あなたがゴミ屋敷の相続放棄を考えているなら、他の相続人も同じように考えているでしょう。

誰も好き好んで、ゴミ屋敷の面倒を抱え込もうとは思わないからです。

ゴミ屋敷の相続放棄には、責任を放棄して他の相続人に任せる側面もあります。

最悪は、相続人同士でゴミ屋敷の押し付けあいが発生し、大きなトラブルに発展するかもしれません。

相続放棄を検討する際はできる限りトラブルが起きないように、相続人同士で事前によく話し合う必要があるでしょう。

 

3. ゴミ屋敷を相続放棄する際の注意点

相続放棄は法的な手続きです。

以下の通り、守らなければならないルールや注意点があります。

●3ヵ月以内に手続きする必要がある
●相続放棄の撤回はできない
●ゴミ屋敷の遺品整理には注意が必要
●ゴミ屋敷の管理責任が残る可能性がある

ひとつずつ解説します。

 

3-1. 3ヵ月以内に手続きする必要がある

相続放棄をするには、相続があるとを知ってから3ヵ月以内に申請する必要があります。

期限内に相続放棄の手続きが完了していなくとも、申請書類(相続放棄申述書)が提出されていれば大丈夫です。

期限を過ぎてしまった場合は遺産の相続が決まってしまうため、遅れないよう可能な限り早いうちから準備をはじめましょう。

ただし、プラスの財産がないと信じていた場合など、例外的に3ヵ月を過ぎても相続放棄が認められるケースがあります。

とはいえ判断する裁判所の裁量によるため、必ず認められるとは限りません。

基本的には、3ヵ月以内に書類を提出できるように動いたほうが良いでしょう。

もしどうしても間に合わない場合には、期間延長の請求が可能です。

以下のような、3ヵ月以内の判断が難しいと認められるケースに限り、申請が認められます。

財産の調査に時間がかかっている場合

やむを得ない事情で相続放棄の判断ができない場合

 

3-2. 相続放棄の撤回はできない

相続放棄は、他の相続人の相続財産に影響を及ぼします。

そのため相続放棄の申請が受理されてからの撤回はできないと、民法で規定されています。

これは申請期限内であっても変わりません。

なお受理されていない時点でなら、申請の取り下げが可能です。

あくまで目安ですが、申請から受理までは1ヵ月程度の時間がかかります。

どうしても撤回したい場合は、できるだけ早く取り下げるようにしましょう。

 

3-3. ゴミ屋敷の遺品整理には注意が必要

相続放棄前に遺品整理し、相続財産を処分や隠匿してしまうと、相続の意思があるとみなされ、相続放棄できなくなるケースがあります。

相続財産の処分とは、家財を売ってしまうなどの行為を指します。

隠匿は、価値のある家財などを持ち帰ってしまう、隠してしまうなどの行為です。

一部のサイトでは、ゴミ屋敷を片付けてしまうと相続放棄できなくなる、と説明されています。

しかし孤独死で強い匂いが発生している、家からゴミがあふれているなど、周辺に影響を及ぼしている場合は、問題ないとされるのが一般的です。

買ったばかりの新しくキレイな電化製品など、明らかに価値があると思われる家財がある場合は、扱いに注意してください。

判断が難しい場合は、遺品整理の会社などの専門家に任せるのが良いでしょう。

 

3-4. ゴミ屋敷の管理責任が残る可能性がある

デメリットのひとつとして簡単にお伝えしましたが、重要な部分であるため、あらためて詳しく解説します。

2023年4月に法律が改正され、相続放棄の時点で遺産を占有していた場合に限り、次の相続人が決まるまで管理責任が残ると定められました。

たとえば実家がゴミ屋敷で、両親が亡くなる前から一緒に住んでいたような場合が、管理責任が残るケースです。

あるいは同居していなくても、定期的に帰省して家の管理をしていた場合も、管理責任が残ってしまう可能性があります。

なかなか一概にはいえない部分で判断が難しいですが、基本的には管理責任が残ってしまうと考えておくのが無難でしょう。

 

遺品整理と相続の関係を専門家がアドバイス

 

4. ゴミ屋敷の管理責任を放棄する方法

ゴミ屋敷の管理責任を、確実になくす方法がきになる方も多いのではないでしょうか。

ここからは、ゴミ屋敷の管理責任を放棄する2つの方法を紹介します。

 

4-1. 相続財産管理人を選任する

自分以外に相続人がいない場合や、相続人のすべてが相続放棄した場合、相続財産管理人を選任すればゴミ屋敷の管理責任を移せます。

相続財産管理人とは、相続人の代わりに遺産を管理する人です。

基本的には地域の弁護士が選ばれます。

遺産の調査や管理を行い、財産があれば国庫に納めるのが役割です。

なお2023年4月1日の民法改正で、相続財産管理人は相続財産清算人に名称が変わりました。

しかし本記事では認知度の高い「相続財産管理人」の名称を使用しているため、注意してください。

相続財産管理人を選任するには、家庭裁判所への申立が必要です。

申立の際には、相続財産管理人に支払う報酬や経費として、予納金を支払う必要があります。

予納金の目安は20〜100万円と大きな金額なうえ、手続きにも2ヵ月程度の時間がかかるため、注意が必要です。

他にも、以下のような費用がかかります。

●収入印紙代(800円)
●郵便切手代(1,000~2,000円程度)
●戸籍謄本取得費用(1,000~5,000円程度)
●官報公告料(約4,000円)

手続きには法律の知識が必要になるため、選任を検討する際は弁護士や司法書士に相談してみましょう。

 

4.2. 相続後に売却する

いったん相続する必要はありますが、ゴミ屋敷を売却すれば管理責任も放棄できます。

しかし問題は、ゴミ屋敷の売却が難しい点です。

ゴミがあふれている建物に、価値は見出せません。

ゴミの影響で、内部の老朽化が進んでいる可能性もあります。

土地に価値がある場合は売れる可能性がありますが、やはり建物がネックになりやすいため、買手が見つかり取引が成立するまで時間がかかるでしょう。

そのためゴミ屋敷の売却については、訳あり物件専門の不動産会社を活用し、買い取ってもらうのがおすすめです。

訳あり物件専門の買取を利用する場合、市場価格よりは安い値段になってしまいますが、買手を探す必要がないため比較的短期間で売却できます。

ゴミを処分する必要もなく、そのままの状態で買い取ってもらえる会社も多いです。

ゴミ屋敷の管理責任をなくすうえ、現金に変えられるのは大きな魅力ではないでしょうか。

 

5.相続については弁護士に相談、または専門業者に相談を

相続財産管理人などについては、弁護士など専門家に相談して手続きを進めた方がいいでしょう。

私たちは法律の専門家ではありませんので、具体的な手続きに関してはお手伝いできませんが、

どのように遺品整理を含めた相続について相談すればいいか簡単にご説明します。

 

5-1 自治体の無料相談や法テラスを利用する

私たちに遺品整理を依頼される方は、故人のご家族であり相続人でもあります。

とはいえ突然家族が亡くなってしまい、「どうしたらいいか分からない」とお問い合わせを受ける場合もあります。

実際の相続などについては弁護士にご相談するのが一番です。

いきなり弁護士を探すのが難しいのであれば、自治体での無料法律相談を利用するのもひとつです。

日程などについては各自治体に問い合わせてみてください。

また、法テラスでも様々な要件がありますが無料で相談に乗ってくれます。

このような場を利用し、スムーズに相続を進めるサポートが受けられます。

一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

5-2 まずは気軽にご相談ください

前にも述べました通り、私たちは遺品整理を行っておりますが法律の専門家ではありません。

よって弁護士の紹介などもしておりませんので、そこはご了承いただきたく思います。

しかし遺品整理と相続は非常に関係が深いものです。

具体的なご相談はできなくとも遺品整理の時期などについてご相談することも可能です。

まずはあらかじめ遺品整理についてお気軽にお問い合わせいただければと思います。

 

>>【参考コラム】

 

6.まとめ

ここまで、ゴミ屋敷と相続放棄について解説してきました。

ゴミ屋敷の相続放棄にはメリットがありますが、デメリットもあります。

管理責任だけが残ってしまうケースもあるため、調査をしっかり行い、遺産全体を見たうえで判断するようにしましょう。

ゴミ屋敷を片付け費用の見積もりも判断材料になるため、その際はどうぞお気軽にご相談ください。

 

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